5月30日から水星が逆行を開始します。
逆行は5月30日から6月23日までで、双子座25度から17度までの逆行になります。
水星の双子座滞在は、5月4日から7月12日までです。
2021年の水星逆行は、まず水瓶座で起こり、次は双子座で、最後は天秤座で起こります。すべて風のサインでの逆行になります。
5月30日7時41分のホロスコープ(東京・プラシーダス)を見てみましょう。
作成:Star Navigator | ARI 占星学総合研究所
ホロスコープの概要
アセンダント(ASC)は、蟹座25度(MCは牡羊座11度)
チャートルーラーは月で、山羊座27度です。
1室に星はありませんが、月、金星、水星がOOBになっています。
ファイナル・ディスポジターは、双子座の水星ですが、魚座の海王星と木星はその列からは外れています。
このホロスコープの中で最も目立つ星は、ファイナル・ディスポジターで、OOBになっていて、逆行を開始する双子座の水星と言っていいと思います。
星の品位を見てみると、山羊座月がデトリメント、双子座水星がオウンサイン、蟹座火星がフォール、魚座木星がオウンサイン、水瓶座土星がオウンサイン、魚座海王星がオウンサインになっています。
10個の星のうち、4つの星がオウンサイン(ドミサイル)に在泊していて、重厚感があるホロスコープになっています。
流動宮に5つの星がある
また、双子座に水星を含む3つの星、魚座に海王星、木星と2つの星があり、流動宮に半分の星があることがわかります。
前回の射手座満月のホロスコープでも書いたのですが、双子座支配星の水星と魚座支配星の海王星は対極的な位置にある星といて、ファイナル・ディスポジターの系列を作るとこの二つの星に流れが集まることがわかります。
双子座水星はコミュニケーションや商取引など、クレバーな賢さ(少しのずる賢さを含む)のイメージですが、魚座海王星は、幻想、幻惑、理想、目に見えないものなど、水星とはまったく違った意味を持っています。
ホロスコープをみると、火星(蟹座23度)がアセンダントとオーブ2度で重なっていると、月と冥王星が山羊座26度でコンジャンクションで、ディセンダントとオーブ1度で重なっているのが目立ちます。
ASC・火星とDES・月・冥王星のアスペクト
このホロスコープでは、星が25度近辺に多くあります。
ASCは蟹座25度。月は山羊座27度。水星は双子座25度。金星は双子座26度。火星は蟹座23度。海王星が魚座24度です。
アスペクトを見てみると、ASC・火星が合。月・冥王星が合で、ASCとオポジションで、それを調停する位置に海王星があります。
鏡リュウジ先生の「占星術の教科書」では、ASC・火星は「戦士の仮面をまとう」、月・冥王星は「カルマ的なつながり」という解釈されています。
火星と月は「強い感情」、火星と冥王星は「爆発的な力」という解釈になるので、「抑え込むのが難しいような感情・爆発的な力」という意味のアスペクトになりそうです。
それを魚座海王星が調停している形です。
OOB水星とOOB金星のコンジャンクション
もう一つ注目しなければならないアスペクトは、OOB水星とOOB金星のコンジャンクションだと思います。
水星と金星は「華やかなコミュニケーション」という解釈になるようです。
このアスペクトは正確には、5月29日起こります。その翌日の5月30日に、水星が逆行を始めるという流れです。
今回の水星と金星のコンジャンクションの特徴は、このコンジャンクションの直後に水星が逆行を開始するところかもしれません。
いったん水星が金星に追いついたと思ったら、水星は逆に進み始めます。次に水星と金星がコンジャンクションになるのは、10月17日で天秤座11度になります。
昨年、2020年5月23日にもOOBの水星と金星が双子座21度でコンジャンクションになりました。双子座21度のサビアンシンボルは「労働者のデモ」です。
このコンジャンクションの2日後(5月25日)に、ジョージ・フロイドさんの事件があり、BLM運動などの運動や、大規模なデモへと発展していきました。
昨年もOOB金星と水星のコンジャンクションのサビアンシンボルを彷彿とさせる出来事があったので、今年も同様になにか起こるのではないかと注目しています。
双子座25度「A man trimming palms」
双子座25度のサビアンシンボルを見てみると「パームの枝を刈る男」です。
松村潔先生の「サビアン占星術」では、自然の法則のままに伸びていった枝を、自分の目的に沿って切りそろえる、という意味で、教育と関係するシンボルと書かれています。
先ほど書いた2020年のOOB水星とOOB金星のコンジャンクションは、2020年5月23日は双子座3度で新月でアスペクトなのですが、新月は双子座3度で、サビアンシンボルは「チュイルリー庭園」というものでした。
自然を人間の思う形に作り上げる、という解釈が一般的にあるようで、「自然の木を人間の目的で利用する」という意味合いは、今回の「パームの枝を刈る男」と共通している感じがします。
「パーム」という木について調べてみたのですが、いわゆる椰子の木のようです。
英語では、「A man trimming palms」で、trimmingは、「刈り込む」という意味もありますが、「手入れする」という意味もあるようです。
「RSH言葉のパワースポット」というサイトによると、
・古代ローマでは勝利をおさめた剣闘士をシュロの葉で称えた
・「マタイによる福音書」には、イエス・キリストの勝利を意味するエルサレム入城の折りに、群衆がシュロの葉を振って歓びの声をあげた
などの例をあげて、「勝利のシンボル」なのかもしれないと指摘しておられます。
R.S.H.__言葉のパワースポット:palms を含む記事
また、聖書のサイトなどで調べてみると、「なつめやしの葉の形は、鳥の羽のようになっています。この葉は輪型にして、祝い事に用いられました」と書かれていて、もしかすると、このヤシの木をtrimmingしているのは、「輪型にして、祝い事に用いる」ためかもしれません。
聖書と関係が深い棕櫚(椰子)の葉
いろいろ調べていくと椰子(棕櫚)の木は、聖書と関係が深いらしく、「エルサレム入場の日」のことを「パーム・サンデー(Palm Sunday)」というそうです。
この日は、イエス・キリストが処刑されて復活した日の1週間前で、エルサレムに入場したことを祝う日で、聖書には、次のような記述があることから、「パーム・サンデー」「聖枝祭」などと呼ばれているようです。
その翌日、祭にきていた大ぜいの群衆は、イエスがエルサレムにこられると聞いて、しゅろの枝を手にとり、迎えに出て行った。そして叫んだ、「ホサナ、主の御名によってきたる者に祝福あれ、イスラエルの王に」。イエスは、ろばの子を見つけて、その上に乗られた。それは 「シオンの娘よ、恐れるな。見よ、あなたの王がろばの子に乗っておいでになる」と書いてあるとおりであった。
ヨハネ福音書12:12-15
なので、このサビアン・シンボルは、吉兆と読むことができると思います。
魚座に海王星と木星が入っていますが、魚座には救済や自己犠牲など、イエス・キリストを思い起こさせるキーワードもあり、イエス・キリストが「エルサレムに入場する」ような出来事の前兆、救済の前触れ、と読むこともできるかもしれません。